ドーピング(禁止薬物使用など)を容認する高額の賞金スポーツ大会「エンハンスト(強化された)?ゲームズ」(来年5月、米ラスベガス)の開催が明らかになり議論を呼んでいる中で、学生アスリートになぜドーピングをしてはいけないのかを伝えるセミナーが6月5日、大阪体育大学で開催されました。

公認スポーツファーマシストの錦織(にしきおり)功延さん

日本のスポーツ界からドーピングをなくすことを目指す一般社団法人「ドーピング0会」メンバーの薬学博士、錦織(にしきおり)功延さんが「スポーツ現場に活かす!アスリートを支える薬とサプリメントの基礎知識」と題して講演し、ハンドボール部女子、バスケットボール部男子などクラブ生、大学院生、大阪体育大学浪商高校硬式野球部の部員ら約200人が受講しました。
錦織さんは最新のアンチ?ドーピング規則やスポーツ薬理学、スポーツ医学、スポーツ科学に関する知識を有する薬剤師である公認スポーツファーマシスト。国立スポーツ科学センター(JISS)でオリンピック、パラリンピック代表選手をサポートした実績があり、現在はライフセービング、アメリカンフットボールの日本代表をサポートしています。

講演にはハンドボール部、バスケットボール部などの学生、大学院生、高校の硬式野球部員らが参加した
セミナーは、ドーピングについて理解をすること、自分の身を自分で守れるようにすることを目標に開催されました。
錦織さんはドーピングをしてはいけない理由として、「フェアプレイの精神に反すること」「アスリートの健康を害し、過去に死者も報告されていること」「反社会的行為であり、ドーピングを行うことで競技の価値をおとしめること」を挙げました。また、アスリートは自身が体内に摂り入れるものすべてに対し責任をもつ「厳格責任」が求められ、意図的かどうかは無関係に、過失の有無に関わらず違反となり、汚染されたサプリメントや食品が原因でも競技者の責任になると強調しました。
さらに、医療機関を受診する場合は、自分がドーピング検査の対象であることを伝え、医薬品やサプリメントを使用する際は必ず専門家に相談するよう勧めました。
参加者からは「スキンケア用品を使ってドーピングになる可能性は」などの質問が寄せられました。
錦織さんは「エンハンスト?ゲームズの報道もあり、改めて、なぜドーピングが許されない行為なのかアスリートが再認識する必要がある。ドーピングは、自分の体を害すると同時に、自分が打ちこんできた競技の価値をおとしめる行為であることをアスリートは深く自覚してほしい」と話しています。
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